前回は世界の危険な植物をご紹介しました。
今回は日本にも数多い危険な植物をまとめてみました。
昆虫や小動物は植物を糧として葉や果実、種を食べます。
察するに、身を守るため一部の植物は、
昆虫や動物へ抵抗するための毒をもったと考えられなくもありません。
では、その毒がどれほどのものか見ていきましょう。
目次
【日本三大有毒植物】
トリカブト・ドクゼリ・ドクウツギの3種が挙げられている。
それくらい知っている方、聞いたことがある方でも‥見たことはありますか?
有毒なことは知られていても、誤って口にしてしまうことが少なくありません。
『トリカブト(鳥兜)』
猛毒といえばヒ素と、トリカブトと答える程には有名でしょう。
しかしトリカブトは古来より附子という漢方薬に用いられてきました。
一方で、トリカブトは狩猟用の矢毒にも使われてきたのです。
誤食の原因は毒キノコのツキヨタケなどと同じく、素人目には判別し難いところ。
早春から初夏にかけての山菜採集時期のトリカブトは、
芽生え時期の食用野草ニリンソウ・シドケ(モミジガサ)の葉と酷似しています。
『ドクゼリ』
春先に採取されるドクゼリの葉はセリ、根茎はワサビと間違いやすい。
草丈が大きく、根茎は辛みがなく中空で節がある、たけのこ状であることが特徴。
生育地には食用のセリと混在しているが、
香りに判別可能な相違がある。\_(・ω・) ハイ、ココネ、ココ
『ドクウツギ(毒空木)』
ドクウツギ科ドクウツギ属に所属する落葉低木。
熟すと黒色になるベリーのような小さな実の房をつけ、
食べると美味しい(!?)のだという。昭和初期まで痛ましい犠牲者がでた。
現在は、大量に駆除されてしまったために絶滅危惧種になっています。
『キョウチクトウ』
花が桃の花、葉は竹の葉と似ていることから「夾竹桃」と書く。
見た目は艶やかで美しい。令和のキャンプ場で見かけることはないと思うが‥、
有毒な枝を串にしてバーベキューで食中毒★というエピソードが知られている。
世界の危険な植物で紹介した「マンチニール」と同じく燃やした煙も危険。
『クサノオウ(草の黄/草の王)(ケシ科クサノオウ属)』
茎を折ると黄色い乳液が出ますが、ケルドリンなどの毒素を含んでいる。
乾燥させて鎮痛・消炎・解毒などに効果があるとされますが、量には注意が必要。
『ベラドンナ』
イタリア語でbelladonna(美しい貴婦人)。別名「悪魔の草」
日本では寒冷地で薬用として栽培される草丈1~1.5m程の多年草。
有毒成分がなんと、鎮痛・鎮痙薬の製剤原料として用いられます。
アトロピンはオウム真理教事件で、サリンの解毒薬として有名でもある。
サクランボのように見た目は美味しそうな黒い実をつけるが、猛毒だ。
【毒をもつ野草】
『バイケイソウ』
検索すれば各市町村で注意喚起されていて、芽・葉・茎・根すべて強毒。
新芽の時が山菜のオオバギボウシ(ウルイ)やギョウジャニンニクと似て、
煮ても湯がいても毒素が消えないため中毒事故が多い。
『アブラギリ』
かつては種子から油を採取するため、国策として繁植されるが今では野生化。
有害なエレオステアリン酸が種子に含まれる。
『エニシダ』
ホウキのような形から欧州では魔女の箒に例えられているそうです。
初夏に咲く黄色い花は鮮烈で映えるが、木全体に有毒物質を含む。
『フクジュソウ(福寿草)』
キンポウゲ(金鳳花)科は美しい花が多く、観賞用として人気が高い。
福寿草は、蕗の薹(ふきのとう)と誤って食中毒の報告がある。
嘔吐、脈の乱れ、呼吸困難、心臓麻痺から死亡した例もあり危険だ。
『ハシリドコロ』
沢沿いの樹林下に自生するナス科の多年草。
美味であるというが植物全体が有毒で、
芽生えの頃が、蕗の薹(ふきのとう)などと誤認して食中毒になっている。
【え?毒だったの!動物に有害な植物】Σ(◕ω◕U)
人には無害でも動物に危険な植物としてラベンダーなどハーブがある。
食べ物としてはマカダミアナッツや、カカオ(チョコレート)、
ミカン(柑橘類)は動物に与えてはいけないことが、よく知られています。
犬猫は観葉植物を食べたり嗅いだりするので、
特に死亡率が高いナデシコ科・キンポウゲ科の草花は注意が必要です。
ユリ科(ネギ)、シクラメン、ポインセチア、チューリップなど球根や、
鉢植えを屋内に入れる季節には注意が必要です。(ÒДÓ=;;)ニャーギョ!?
【毒をもつ観賞用植物】
『鈴蘭(スズラン)』
強心作用をもつコンバラトキシン・コンバラマリン・コンバロシドを含む。
毒素は水に溶けだし汚染するため、ペットの誤飲といった事故の報告あり。
『水仙(スイセン)』
ヒガンバナ科。葉がニラとよく似ており、誤食から中毒を起こす。
スイセンの葉はニラの葉のもつ独特な強い臭いがない。
球根が有毒なため、誤食による中毒の例には畑の近くで自生していた、
といった要因も報告があります。
『曼珠沙華(彼岸花)』
中国原産の多年生球根植物です。「リコリス」とも。
日当たりのよい場所を好み、9月中旬には地中から芽を出します。
1週間程度で妖しく赤い花が一面に群生している風景は幻想的。
それは隠世に迷い込んだかのよう‥‥。
『ヒヤシンス』
園芸植物として広く栽培されてますが、シュウ酸カルシウムを多く含みます。
かぶれたり、嘔吐・下痢・腹痛などを引き起こしますので、
触ったらよく手を洗いましょう。水栽培はペットの誤飲に注意が必要です。
『チョウセンアサガオ(ナス科チョウセンアサガオ属)』
自生または観賞用に植えていたチョウセンアサガオの、
枯れた後に畑に変えて、根や種を誤食した事例があります。
またチョウセンアサガオに食用のナスを、
接ぎ木したことから毒がナスに移って中毒を起こした事例もある。
同じくナス科の近縁種で、観賞用に人気の高いキダチチョウセンアサガオ属の
『エンゼルトランペット』もまた毒性があるため管理に十分な注意が必要です。
『シキミ&ミヤマシキミ』
スッキリした澄んだ香りを持つ香木ですが、
命名の由来は「実に毒を持つ悪しき実」から「(ア)シキミ」と名付けられた。
木の全てが有毒なので香りに惹かれて触れてはいけない。
ミカン科で柑橘系のいい香りがするミヤマシキミも、
秋につける赤い実に毒があるので間違っても口に入れてはいけない。
(´・ω・`) ミカンの香り・・だと!? ワイこれ見たことあるな。。
『フユサンゴ』
熱帯地方原産のナス科の小低木で、実を観賞する鉢花。
珊瑚のような赤い実は有毒であり食べれば最悪、命を落とすことも。
『ミフクラギ(オキナワキョウチクトウ)』
毒性の強さで知られるキョウチクトウ科の他属と同様、動物に致命的な毒性をもつ。
葉や枝の中から出る白い樹液が付いた手で瞼を触ると、
腫れて膨れるため「目脹ら木」と云われる。眼に入れば失明する場合さえあるのだ。
注意書きがされている沖縄では庭木や街路樹として植えられおり、
マンゴーに似た果実がなるので目を引くが、触れたり口にしてはいけない。
『紫陽花(アジサイ)』
身近で観られるため親しみのある花木ですが毒素を含んでいます。
葉は一見、大葉のように見えるが口に入れると腹痛・嘔吐・昏睡を引き起こす。
『ホツツジ』
花の少ない時期に咲くため珍重されるが、花木全体が有毒。
花粉にも毒素を含んでいるので、ハチミツに混入すれば食中毒を起こす。
『石楠花(シャクナゲ)』
華麗な花を咲かせるが、葉にロドトキシンという痙攣性の有毒物質を含む。
厚生労働省はハクサンシャクナゲの葉を茶葉として飲用に注意を促している。
石楠花のハチミツを食べて呼吸困難や視覚異常を起こした話もあります。
世界と日本の危険な、主に毒をもった植物のまとめをご覧いただきました。
生物の多くは、脅威から身を守る何らかの能力を持っています。
ご紹介した植物は必ずしも人類に対して獲得した能力とは限りません。
人は植物を薬としたり、味覚を楽しんで自然の恵みを受けてきました。
正しい知識があれば、山菜取りを安心して楽しんでいただけるでしょう。
ここまで、ご覧いただきましてありがとうございました。
次回の記事も、よろしくお願いします。<(_ _)>